ポカンと口を開けている

白痴の顔だ

行間が広すぎる、ダダダッ、ダダダッ

と階段を駆け降りる

午後の曳航船に引かれて灯台へ

古い椅子のあるじはなく、

うおおんと汽笛が鳴いても誰も聞かない

住み着いていた白い猫も死んだ

灯台守りが狂ったからだ

カモメが死肉をつつきにやってくる時刻

飢えた蟹たちもしだいに集まってくる

やがてはこの死の塔も腐り落ちるだろう

聞くもののない崩壊のメロディ、感情のない静寂の微笑のままに