原人だ
肉肉肉 とだれでも思うのだ 
狩人の目つき手つきで猫背になって 吹雪の闇へ
怖気おじけはとうに捨ててきた 
月に浸された女の稜線を 石器かざして突き進んでいけ 
放浪・邂逅・咆哮一発 
ぬすんと倒れる黒影に かけ寄り骸を返せば己のかお 
おお!と抱える頭もない腕もない 
むさぼる自分すら溶けゆく雪の降る 白白白!

洞窟に引きこもって百と十日
三度マンモスが通り過ぎた
腹を決めすべての毛を剃ってみれば予断なく、寒い
おかしくておかしくて、笑った マンモスのやろう
今度来たらぶっ倒す 穂先をキンキンに研いやるのだ

風がびょうびょううるせえな どれだけ降るんだビュルムの冷気よ
火はつきた 腹はすいて目がかすむ
知ってる、明日にはオオカミの餌だろうよ
マンモスをぶっ倒せ! 槍がおれの手のなかで
ふるえた