艦砲射撃の煙幕の夜

しとねにばらまかれた嫉妬の札を

集める指先の冷たさよ

かさねの上張りと下張りのすきまに

祈るように差し入れられた手が

深く隠していた羞恥をなでまわす

心は冬の空のように燃えあがり

赤子のよだれのような濃密さで空無を

ぬわぬわと染め上げてゆく、光

その私のみだらな口唇を

夜更けの空は振り返るようにして

盗み見ている



※この詩は中島弘貴さんの写真からイメージして作りました。
https://www.instagram.com/p/C6vkjdHyJ8U/