夏のアジアの腐ったうつくしい便ゾーン、から見る朝焼け

がんっと見開いた血走りまなこからビーム

微細なぷるぷる痙攣のさきを突っ走る、神経と死の列車

がんじがらめの欲望にムチ入れロウソクたらし、遅々ちち浪々らうらう

街の腐臭にまぎれて放屁、老人の勇ましき下半身が空中合体して機械獣

発糞はぽっとん奈落の底へ、妄想が高層へ深層へと右往左往そうしよう

処刑台に掲げられた女教授のうつくしい手首に浮き出るスジ2本に

陰鬱な破戒僧マンクの舌が上下している快楽城の午後ではある

毛をむしられたドバトの鳥肌がぶつぶつと泡おどる

大門から聞こえる呪文のかたちに有刺鉄線のみちみち

現実が人間に見せる無邪気な幻術を幻想というのなら、

この夢もまた滑稽に脱臼しただけの文脈なのだ

激しく隆起する海岸でひろった淫猥な生き物図鑑

に載っていた汚れた古写真の記憶をしぼり出す

分厚いゴム手袋をはめて軽快に手術を

永遠にうるおうトポロジー

ドバトがしゃべくるフィロソフィー

危険な描線はホルマリン漬けにしておけ

太古の矢尻のようなメスで白い腹をまっすぐに裂いていく

亜空を見つめるうつろなかんばせに呼びかけてみても虚しい

未来形で書かれた昔話を暗唱すれば、黒目がぐるりと後ろを向く