何でもない午後
カーブを曲がった先に 魅惑の釣り針がきらめく
見事な曲線は 欲望をかき立てるための
ワナだと 標識が教えてくれるけれど
ブレーキはもう踏めない
胸を張り裂いてあふれ出る 漆黒の笑いが止められない
笑いながら目の端では 入道雲の狭間から見下ろす大悪魔
をとらえているのに
銀色のどのウロコをめくっても そこには見慣れた答えが書かれている
ああそうだね そのとおりだね
それも知っているし知っていながら 快感のような黒波のしぶきに
全顔をびちょびちょにされながら
運命というわけのわからない糸で
一個の阿呆のように
いとも簡単に釣り上げられていくのだ
深淵で平べったい虚無の、口