全生物がねむった
夢を見ているのか つんざく咆哮のとどろき
すら まぶたの闇を突き通せない
予兆も希望もなく ただ茫洋とした空の海を
途方もない巨体が のんのんとわたりはじめる
その目は初めからふさがれ
光という光を吸いこんだ 何千年も
あとは体に刻まれたうたを 沈黙でうたう
るううらら るううらら
線が走ってきて新しい血管となる
運んでいるのは音の粒だ
その先でぽつりと また新しいうたが刻まれる
果てしのない循環
今や音も光も空も海も すべて封じられた
次の咆哮までに 風も化石となるだろう
※この詩は中島弘貴さんの写真からイメージして作りました。
https://www.instagram.com/p/C3pVM6vSupo/