夏のアジアの腐ったうつくしい便ゾーン、から見る朝焼け
がんっと見開いた血走りまなこからビーム
微細なぷるぷる痙攣のさきを突っ走る、神経と死の列車

がんじがらめの欲望にムチ入れロウソクたらし、遅々ちち浪々らうらう
街の腐臭にまぎれて放屁、老人の勇ましき下半身が空中合体して機械獣
発糞はぽっとん奈落の底へ、妄想が高層へ深層へと右往左往そうしよう

処刑台に掲げられた女教授のうつくしい手首に浮き出るスジ2本に
陰鬱な破戒僧マンクの舌が上下している快楽城の午後ではある
毛をむしられたドバトの鳥肌がぶつぶつと泡おどる

大門から聞こえる呪文のかたちに有刺鉄線のみちみち
現実が人間に見せる無邪気な幻術を幻想というのなら、
この夢もまた滑稽に脱臼しただけの文脈なのだ

激しく隆起する海岸でひろった淫猥な生き物図鑑
に載っていた汚れた古写真の記憶をしぼり出す
分厚いゴム手袋をはめてさあ手術をしよう

永遠にうるおうトポロジー
ドバトがしゃべくるフィロソフィー
危険な描線はホルマリン漬けにしておけ

太古の矢尻のようなメスで白い腹をまっすぐに裂いていく
亜空を見つめるうつろなかんばせに呼びかけてみても虚しい
未来形で書かれた昔話を暗唱すれば、黒目がぐるりと後ろを向く

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アナコンダは沼から起立しおろかな虹色の太陽柱になった。幾何学のかたちをした猛獣が地面からかたどられると、すぐさま柱のよこっ腹にみついて引きちぎった。らう、と蛇はひと声ないて垂直な夜に向かってやわらかい腹を割ると、血も液もないプラスチックのように乾いたはらわたが、まっすぐに跳び出て夜の板を突きやぶった。おかしいかおかしくないか、下半身だけで返事してお尻をまくり上げたまま爪先立ちでポーズするから見てごらん。頭の太陽はぐらっとゆれて、ゆらんゆらん、ぼろん、と背後に落っこちた。形式美のニキビまみれの白眼で蛇の頭がにらみつけても、知らない。轟々と風の吹く静かな湖面から月が生まれて夜は、不完全のまま満ちることにひたすらにとらわれの心。蛇の産卵はなはなだしくも翻筋斗もんどりうって割れ目をひきさき出るわ出るわの大出玉。殻の内側から見る世界のそら美しさ、はかない惰夢をつみかさねるだけでただもう無駄に夢のダムは大決壊、とほうもない夢の濁流と化す。大樹の幹のような太い河、一本。その穂先で夜は描きなおされ、きょとんと空に置かれている。無情となげいてみても虚しい夜空、一本の線が飛んできてにやにや笑いをつけたしていった。すべての卵はかえり、平らな夜の揺籃の上をすうすうとすべりおちたあと、濁流にのまれてすべてつぶれた。蛇の頭が遅い涙で滂沱ぼうだしているがそれもまた、奇妙な夜から朝への緞帳どんちょうだった。

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